陰として豪雨

理系浪人生の日記→理系東大生の日記

弐拾肆話 完全固定法

夏がまさに過ぎていくのを受け入れられません。なぜ浪人したのか考えて夏を過ごしてほしいです。自分に。

数学の図形と方程式関連分野がとても苦手なので、今夏は特に図形に対する様々なアプローチ、具体的には{座標、ベクトル、複素平面写像(軌跡と領域)等}を重点的に勉強していこうと思っていました。現役の時から、なんなら高2くらいの時点でこの辺の分野が苦手な自覚はあったので、集中的に取り組んだことは過去にもあったのですが、なかなか得意になりませんでした。

軌跡と領域では、順像法と逆像法(逆手流などとも言う)の概念すらあやふやで、とにかく順像法は文字固定して場合分けするやつ、逆像法はx+y=s、xy=t などとおいて存在条件に持ち込むやつといったアバウトな理解でした。

そもそも順像法の場合分けに嫌な思い出(計算が重いとか)が多く、順像法は避けがちだったのですが、浪人してそんなことも言ってられないので、いわゆる順像法の解答も練習したのですが、そこで根本的に理解が歪んでいたことに気が付きました。

順像法・逆像法やらファクシミリの原理・逆手流やらの必殺技か秘伝の極意のような名前に惑わされていて、その本質を見失っていた気がします。

順像法というのは単に一文字を固定して定数化した文字と変数の関係を調べるもので、順像法とかいう大層な技名に反してただの地道な手に過ぎないと思います。多変数関数において、複数変数を同時に動かすことは人間向きの考え方ではないということを理解すること、すなわち、数学が得意な人だろうが人間であるかぎり普通は簡単化して考えている、と考えることで一文字固定(順像法)が自然に使えるようになりました。

また、逆像法については、写像の対応関係から「逆」像法というのでしょうが、シンプルな理解のために、「完全固定法」みたいな名前にしてほしいと思いました。というのも、逆像法というのは僕の理解では、「一つひとつの要素(x,y)に対して(平面上の領域を求めるような問題の場合)、条件A(x,y,t)を満たす実数tの存在を調べる」というような発想であり、一般の(x,y)について統一的に調べる結果、存在条件という形に帰着されるものです。したがって、いつも発想の根本は個々の要素、多くの問題では平面上の点、に注目することにあるので、僕のような不肖には「一文字固定vs完全固定」というようなわかりやすい対置をしてもらった方が理解しやすいです。他の言い方だと、一文字固定はラインの固定、完全固定はドットの固定というような感じでも良いと思います。

数学的に「正しく」ないために、そういった説明がなされないのかもしれませんが、ファクシミリの原理やら逆像法やらの他のネーミングも数学的に正しいかどうかという発想とは縁遠いように見えるので、是非採用してください。いや、誰が採用するんだ?