弐拾捌話 エンドレスエイト
夏休みもあと2週間、と言っても特に何をするでもない2週間なのだが、夏期講習もひと通り終わって一息つきたいところです。
夏休み中にしなきゃダメなこと
・数学の復習 ×
・図形分野の演習 ×
・力学の復習 ×
・波動の復習
・電磁気(夏期)の理解
・理論化学の復習 ×
・英文法の復習 ×
・英文解釈の復習 ×
・英語表現の復習
・英単語暗記
力学の復習を一周終えたので、今週は波動の復習をしていきたいと思います。力学の授業がどのような構成だったかを振り返ります。
物理学の世界観
自然現象を物体の運動としてとらえ、その物体の運動を把握したい。宇宙が一様等方Euclid空間であると仮定すると、ある時刻の物体の位置をある座標系で一意に指定できる。位置rの変化の度合いとして速度v、加速度aを導入し、ある時刻での物体の位置と速度を指定すると、物体の運動がいつも同じにみえるということが経験則からわかった。位置と速度が定まったとき、加速度が独立なパラメータだとすると運動がいつも同じにならないので、加速度も位置および速度の関数として記述されるはずである。これが運動方程式の発見の背景である。
数学的基礎
物理学において、物体の運動を記述するのに数学を用いるのがなぜか都合がよい(自然科学における数学の理不尽な有効性、宇宙は数学の言葉で書かれている)。
対称性:変換に対する不変性のこと。
微分法:接線近似のこと。微小な部分で成り立つ関係をあぶりだす。
積分法:微小なものの足し算のこと(定積分)。
運動学
一次元運動(等速度、等加速度直線運動)、二次元運動(等加速度運動)。等加速度運動は完全に解析される。すなわち、初期条件が与えられればその後の運動はすべてわかる。加速度aで距離h進んだときの速さは√2ah。これ世界の常識。
二次元極座標表示
動く正規直交基底への分解方法で便利なもの二次元極座標表示。位置速度加速度を原点からの動径方向成分と方位角方向に分解する。半端ない便利さ。なんでこれ高校で教えてくれないんだろう。回転が絡む問題は二次元極座標表示の方が圧倒的に見やすい。圧倒的に。
重心運動方程式
多粒子系において、物体間の内部の相互作用はNewtonの第3法則(作用反作用の法則)より相殺しあって、重心の加速度は系の外力のみに影響されることがわかる。運動方程式は左辺が微分形なので、多粒子N体系の個々の粒子の運動を解くには、一般にそのN個の連立微分方程式を解かなければならないが、実質的には数学的に不可能である。N=2までは解析可能性があるが、N≧3では無理。したがって重心の運動をとりあえず議論するのが基本である。
スカラー積ベクトル積(テンソル積)
スカラー積:いわゆる内積。スカラー、すなわち回転対称量を生む。
ベクトル積:いわゆる外積。ベクトルを生む。単純な交換測が成り立たない。
テンソル積:高校範囲では使わないがテンソル(ベクトルをさらに一般化したもの???)を生む。
運動方程式から得る情報
運動方程式(微分方程式)を解く以外に、運動方程式ma=Fから得られる情報を考える。(太字はベクトル細字はスカラー)
運動量p:
ma=d/dt(mv)より、d(mv)=Fdtである。p:=mvと定義すれば運動量pと力積Fdtを得る。pは運動の向きという情報を含んだ勢いを表すと解釈される。
運動エネルギーK:
ma・v=F・vというスカラー積を考えると、
ma・v=d/dt(1/2(mv・v))だから、d(1/2(mv^2))=F・vdt
Kinetic Energy(K.E.)K:=1/2(mv^2)と定義すれば、
dK=F・vdt=F・rとなり、K.E.変化と仕事の関係を得る。Kは運動の激しさと解釈される。
角運動量L:
r×ma=d/dt(r×mv)-v×mv(置換積分)、v×mv=0より、
d/dt(r×mv)=r×Fだから、d(r×mv)=r×Fdtである。L:=r×mvと定義すれば、Lは向きを含んだ原点からみた回転の勢いを表すと解釈される。
疲れたのでシリーズにします。